【イベレポ】「Biz×TechでCADDiの"Whole Product"を語る!」を開催しました!
イベント概要
「キャディが採用するWhole Productの概念とは何か?」「重厚長大な製造業の改革という壮大なチャレンジに、この考え方がなぜ必要なのか?」などの観点について、キャディのオペレーションリーダーとテックリードが事業と開発双方の観点から語った本イベント。
製造業の大手メーカーやITスタートアップなど、幅広い業界から40人以上の方々がご参加くださり、盛況に終わりました!
本noteでは、当日の内容をお伝えしたいと思います!
前提:キャディが大切にする"Whole Product"という考え方
"Whole Product"とは、Theodore Levitt氏が著書『マーケティング論』で提唱している概念です。狭義の「プロダクト」が単独がシステムやアルゴリズムを指すのに対し、”Whole Product”は「コアプロダクトでユーザーの要望に応え、補完サービスでさらに顧客の期待を満たしていく製品」を意味します。
「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」という壮大なミッションに向けて、私たちは「製造業の受発注プラットフォームCADDi」という全体が"Whole Product"であると捉え、「技術=Tech」と「人=Biz」の力を最適に配分してサービスを開発・提供しています。
登壇者紹介
■正林 嵩教(オペレーションマネジメントグループ マネージャー:Bizサイド)
コンサル2社を経て1年前にキャディへ。急成長している会社で事業構築にトライしたいと考えジョイン。現在は、キャディのコアビジネスとなっている受発注オペレーションシステムとプロダクトの標準化・効率化及び、3〜5年後を見越した将来像の検討をミッションとしている。
■高藤 謙佑(ソフトウエアエンジニア テックリード:Techサイド)
製造業は初めてだったが、キャディが挑む市場規模の大きさや、解決しようとしている課題の複雑さに魅力を感じて、2年前にキャディへジョイン。バックエンドエンジニアとしてソフトウェアの開発を行っている。
■大原 壯太(ソフトウエアエンジニア テックリード:Techサイド)
キャディが手掛ける事業内容の面白さとメンバーの熱量に惹かれ、1年半前にメルカリからキャディへジョイン。主にフロントエンドエンジニアとして開発に携わっている。
■小嶋 壮邦(オペレーションマネジメントグループ リーダー:Bizサイド)
製造業というレガシー産業へのチャレンジに惹かれて、約1年前にリクルートからキャディへジョイン。正林と同じ受発注のオペレーションチームに所属し、受発注オペレーションやプロダクトの標準化・効率化を主なミッションとしている。
テーマ①:Whole Productの実例
システム化の基準はリアルタイムな事業変化を観察して判断
小嶋:まず、キャディでのWhole Productの実例についてお話ししていきましょう。
例えば、最近あった事例からひとつ。これまでは、「製品A」「製品B」「製品C」それぞれの製造工程管理や受発注だけを行っていたところから、「製品A」「製品B」「製品C」を「組み立てて」納品するようになったという事例がありました。
こうなると、製品ごとの「受発注」や「製造」の工程だけではなく、複数の製品を横断した「組み立て」の工程の管理も行うことが必要になってきます。ビジネスモデルが変化するので、既存のシステムだけでは解決できなくなる部分がどうしても出てくるんですよね。
今回の事例では、先行してオペレーションチームが対応して、あとでテックがキャッチアップすることになりました。場合によっては、もちろん逆もあります。
正林:組み立てまで行う中で、今までに発注したことのない部品を購入したり、ネジが一個足りなくて作りきれないという事態に直面したりもしました。大変でしたね。
システムとオペレーションの話でいうと、今回単価0.3円というネジがあったのですが、受発注システムに、小数点以下を入力する機能がついていなくて入力できないということがありました。
これをきっかけに要件追加依頼を新たに出しましたが、今回はオペレーションチームが責任を持って、手元のエクセルで管理しながら進行しました。
でも、今後もこういうシーンはあると思うんですよ。どこをシステム化するか、どこが人が行うべき領域か。この視点は今後も持ち続けねばと意識している点です。
事業成長を先読みした開発設計で急成長に伴う不確実性に対処
小嶋:オペレーションを構築する際には、再現性をいかに持たせるかが大切だとは思います。早期に要件を固めて、テック側にビズサイドがからトスアップすることもありますが、そもそも事例数が1件とかだとシステム化も難しいと思うんですよね。この開発環境において、エンジニアとして意識していることはなんでしょうか?
高藤:データの入力ができなかったという、今、正林から紹介のあった件のようなことには、至急対応したりもします。
テック側としては、もちろん要件が固まった状態で開発を進める方が、戻りも少ないですし、一番嬉しい状況ではあります。でもキャディはスタートアップなので、事業モデルや業務プロセスは変わるのが前提だというスタンスで動いています。
臨機応変に対応するためには、ウォーターフォール型ではなくアジャイル型で開発しようというプロセス選択の観点も大切ですが、それだけはなくエンジニアサイドからも、積極的に事業の動きをキャッチしに行きます。ビズ側からオーダーがある前に「こういう機能が必要そうだな」と推測して、先行してシステムを拡張させることも。
キャディの事業成長は早く、この2年間で、受注している製品数が急増しています。量が増えたことでシステムに負荷かがかかり、重すぎて使いにくいという問題も出てきます。
事業の成長スピードを妨げないように、速度面でのパフォーマンスを上げる改修を行うなど、テックサイドから攻める姿勢もエンジニアには求められていると感じます。
小嶋:「不確実性」に対応する開発スタンスですよね。データ構造も拡張性が高い形になっていると感じます。オペレーション側から「こうしたい」という相談をテックチームに持っていくと「そうだよね、想定してこんな感じにしておいたよ」と、先回りして考えていてくれることもよくあります。
エンジニアも製造現場に足を運んでドメイン知識を獲得
小嶋:このように、テックサイドがビズ視点を持って積極的に動いているのはキャディの特徴だと感じています。同じくテックチームの大原さんは、このようなキャディの事業環境で、日々どのようなことを大切にされていますか。
大原:キャディに入って難しかったのはドメインの設定ですね。僕も含めて、ほとんどのエンジニアが製造業のバックグラウンドは持っていないんですよ。
ですから、情報を自分で取りに行かないと「ビズ側から言われた通りにそのまま作る人」になってしまうと思っています。僕は、パートナーさんのところ(=町工場などの協力会社)に実際に行って、ペインポイントをヒアリングしたこともあります。どういう風に現場の人が動いているのかをキャッチアップするのが大切かなと。
小嶋:オペレーション側も同じですね。実際にパートナーさんのところに行って、キャディから提供した情報がどう使われているかを確認したり。製造業は扱っている情報が複雑で量も多い。ですから、このようにビジネスプロセスを把握しながら業務の解像度を上げていくのが重要ですよね。
オペレーションチームとテックチームが一丸となってプロダクト要件を決定
小嶋:一方で、先日テックからオペレーションへ「図面管理機能」を提案してもらったということもありましたよね。
高藤:キャディが受注した製品を作るには、部品がたくさん必要になってきます。例えば「製品A」を作るまでに、「部品A」「部品B」…「部品Z」と、部品の数だけ生産工程を管理する必要があり、更に「部品AとBを組み立てる」などの生産工程が発生します。
発注先も複数になる状況で、オペレーション担当者が、製品の進捗管理を瞬時にできるようにするには、どうしたらいいのかを考えました。
図面もたくさんあり、オペレーション担当が手元のスプレッドシートだけで自力で管理するのは、とても難しいと思ったんです。ここはテックチームの出番だと思いました。サプライチェーンをグラフ表示できるようにするなど、生産管理の工程をわかりやすく可視化できましたね。大原さんなどの、フロントエンド側が頑張った事例です。
大原:図面管理は、この半年くらいでリリースしたサービスです。元々、図面はドライブに保管していたのですが、そのままだと図面の「差し替えボリューム」「差し替えタイミング」「量」が、データとして蓄積されないのが課題だと思ったんです。なので、あとで分析できるように整理しようという提案をテック側からしましたね。
小嶋:最初は、ただ図面を保存するところだけだったのが、「これはどういう性質の図面なのか」というカテゴリ別に分けたりもできるようになっています。
正林:これは、マジで助かりましたよね!PDFの500図面が重すぎて開かないというケースもこれまではよくあったんですよ(笑)。「ファイルの重さ」という軸で管理せざるを得なかったのが、カテゴリ別に意味を持って管理できるようになりました。
小嶋:図面にIDを振り分けているので、何千もある図面からもさっと検索でき、業務もスムーズになりました。単純なところなのかもしれませんが、業務負荷が格段に改善された事例ですね。
図面管理の話ばかりしてしまったので、具体的な生産管理システムについて話をしましょうか。生産管理工程やサプライチェーンの情報管理など多数の機能がありますが、特に開発において苦労したのはどこでしたか。
高藤:いや、全般苦労しました(笑)。例えばこれは案件管理のグラフです。機能としては簡単に作れたとしても、実際に使う人が見やすくて使いやすい表現にするためには、どうしてもデータの蓄積が必要になります。
なので、オペレーションサイドと話をして、実例をキャッチして対話しながら「本当に使えるもの」に仕上げていきました。みんな、自分はテックサイドだとかビズサイドだという観点ではなく、「どうすればお客様やパートナーに価値を提供できるのか」という観点で常に動いていますね。それがキャディの強みかと思います。
小嶋:パートナーから入手したデータの読解に、オペレーションサイドとして苦労することも多々あります。まずはオペレーションが理解して、テックサイドにトスアップして。
お互い大変ですが(笑)。この画面はキャディのメンバーだけでなく、パートナーも使うものなのですが、見やすいインターフェイスを提供できているのは大きな価値だと思っているんです。テックとビズが両輪で回るという意味でのWholeProductが活かされているところではないでしょうか。
テーマ②:WholeProductの広がり
ますます広がるWhole Product の進化の余地
小嶋:製造業界全体として、見積もり負荷が大きな課題だと感じているんですよ。製品Aを作るとなった場合、まず図面が2000や3000くらい必要になったりするんですよね。キャディでは、その図面を算出システムに読み込ませて見積もりを出します。
パートナーにこの見積もりを出すと、彼らも自分で見積もりをします。キャディに言われた単価をそのままというケースが全てではないので。これを製造業全体で考えると、一次受け、二次受け…と、発注の階層が深くなるほど、階層ごとに各社が「見積もり」作業をすることになり、ダブりが生じるんです。
キャディは、産業構造の観点からこれがとてももったいないと思っているんです。キャディが出す単価がいずれはノールックで信用されるようなものになるのがベストですが、その手前として、まずはもらった図面をキャディのシステムに読み込んで試算した結果が、パートナーの試算システムに連動して、製造業界全体の生産性を高められたらいいなあという夢を持っていますね。
皆さんは、キャディのビジネスチャンスをどこに見られていますか。
正林:僕が入社前から考えていたのは、パートナーさんのファイナンス支援などもできるのではということです。帝国データバンクでは取れないような、リアルで正確な情報をプラットフォーマーとして蓄積できるのがキャディの強みだとも思うんですよ。
資金調達をするときに、銀行に提出するエビデンスをキャディが用意することもいずれできたらいいなと考えています。まだ検討にも入っていない「超長期的」な夢ではありますが。
小嶋:テックサイドではどうですか?
高藤:入ってから気付いたのですが、受発注が伸びるほど、キャディは製造業のプロトコルになれるんだろうなって思っています。パートナーさんの間で「キャディ知らないの?」「うちはキャディさんに頼んでいるよ」っていうような会話が生まれるような世界観を作れるといいなあと思いますね。業務管理や物流管理も面白いなあとやればやるほど解像度が上がるのが面白いです。
大原:ほとんど高藤さんに言われてしまいましたが(笑)。パートナーさんが、自力でプロジェクト管理をできるツールまで作れたらいいなと思っています。紙で管理されているところにも、テックで何かお手伝いできればいいですね。
目指すのはデジタルとアナログのいいとこ取り
高藤:僕らは、エンジニアだからデジタル寄りに物事を考えます。ソフトウェアのコードを使って、物事をデジタルに管理しようとします。一方で、製造業は「モノ」がある世界。
図面なども、デバイスで見るのではなくて、A3などの紙で出力して見ることによって、UXが担保されているというような側面もあるのではと思うんです。
だからこそ、全てをデジタ化していいのかと悩むこともありますね。オペレーションサイドから見て、「ここはデジタル化せずに残りそう」という部分はありますか?
小嶋:紙には、さっと書き込める便利さがありますし、現場では意外とそういう使い勝手が大切なのかなと思うシーンもあります。タブレットだと、製造現場で使うには危険なケースもあるんですよね。オペレーションマネジメント上では、全ての情報をデジタル管理できるのが理想的ではありますが。
正林:図面を見ていると、同じ記号でも会社によって使っている意味が異なるケースがよくあるんですよ。これは、データを蓄積しながら辞書みたいにしてもいいのかもしれませんが、最初の読み解き作業は、やっぱりシステム化できない気がしています。
この読み解き作業は、難易度が高いので人のリソースを割いていくのが必要になると思うんですよね。だからこそ、技術で置き換えられるところはどんどんデジタル化していきたい。
小嶋:僕は一方で、そこは非効率だとも思っていて。もう少し図面そのものを標準化するとか、キャディ標準という形式を作ってしまって、そこに乗っかってもらえると少しコストを下げられますという仕組みを作りたいなと。
高藤:図面にも、実は書き漏れがあったり、顧客の要件を満たせていないケースもありますよね。「キャディを通してこの書き方で」というルールを作れたら、プロトコル化できそうだし、そこに夢を感じますね。
小嶋:そのままだと作れない図面って意外とありますよね。私も驚きました。図面を見ながらの、製造現場と発注者の阿吽の呼吸やコミュニケーションで成り立っているようなところがあって。そういうウェットなところは製造業の良さでもありますが、競争力という観点では、改善できるなと。
テーマ③:CADDiの特殊性・難しさ
一筋縄では解決できない難しさこそが面白い
大原:良くも悪くも、キャディはスピード感がすごいと思うんです。1週間でガラリと事業構造が変わるのは普通ですし、これはウォーターフォール型では開発できないですよね。アジャイル型の開発が欠かせないと感じます。
高藤:製造業って、歴史がとても長い産業だと思うんです。生産管理方法も多様だと思うんですよ。キャディはまず、生産管理の中でも「調達」の部分にイノベーションを起こそうとしています。
でも、過去事例がまだないですよね。システムもプロセスもお手本がありません。「やってみないとわからない」というのが特殊なところだと思います。テックだろうとビズだろうとそこは変わらない難しさですよね。
正林:プロトコルと言うか標準ルールがないから変数が非常に多いですよね。それが難しさでもあり、すごく面白いところ。難しいからできませんって言うのは悔しいと思いながらやっています。
小嶋:立ち向かってますよね。テックはどういうところで文化の特殊性を感じていますか。
大原:勉強好きな人がすごく多いと思います。キャディでは、フロントエンド、サーバーサイド、アルゴリズムと領域は分かれていますが、ヘルプが必要な時には、お互いの分野を勉強しあって補うシーンもあります。新しいことへの挑戦に、皆躊躇しないですよね。首をどんどん突っ込みながら業務に活かそうとする姿勢を感じます。
高藤:技術面での「勉強」もありますが、ビズサイドの知見を取りに行くエンジニアも多いし、逆も多いですよね。
小嶋:日々、変革が激しいフィールドだからこそですよね。
高藤:あとは、キャディのバリューとしての「至誠」もあるんじゃないですか。三方よしというか。パートナー、お客さん、従業員もWinになるようにという考え方をするカルチャーをキャディは「至誠」と表現しているのかなあと。
なんちゃってバリューではなく、きちんと全員が体現できているのがキャディでは感じるんですよ。トップダウンじゃなくて、一人一人がカルチャーとして捉えているなあと。
小嶋:会議でも「それ至誠じゃないよね?」っていうツッコミが入ったりもしますよね。それくらい浸透しているカルチャーなのだと日々感じます。
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございました!
"Whole Product"の面白さ、キャディの取り組みなど楽しんでいただけたでしょうか?
キャディでは、現在全ポジションで積極採用中です!!
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CADDi Brand Movie
参考)キャディのWhole Product関連記事