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【代表登壇イベレポ】1/20_for Startups×CIC Tokyo共催_成長産業カンファレンス「FUSE」

先日1月20日、for Startups株式会社とCIC TokyoJapan合同会社共催の、スタートアップと大手企業の協業・共創を加速する成長産業カンファレンス「FUSE」内のセッションに、代表加藤が登壇しました!

「FUSE」は、スタートアップや大手企業、行政などの協業・共創をプロデュースする今年初開催のイベントです。当日は、幅広い分野の60名超のスピーカーが産業テーマ別に、16のトークセッションがオンラインで繰り広げられました。


登壇セッション概要

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登壇者略歴

■佐藤 正義 氏
三井住友銀行 成長事業開発部長。
入行以来ベンチャーキャピタルや証券会社でIPOの引受審査、銀行で成長期業マーケットでグループ長と、成長期業周りでの支援が中心。現在、「成長企業といえばSMBC」をスローガンに、成長企業支援、成長事業開発に邁進中。
■前田 瑶介 氏
WOTA株式会社 代表取締役社長CEO。
1992年生まれ。小中高と生物研究をしていた際に水というテーマに出会う。高校時代には食用納豆由来γポリグルタミン酸を用いた水質浄化の研究を行い日本薬学会で発表。大学・大学院在学中より、大手住宅設備メーカーやデジタルアート制作会社の製品・システム開発に従事。その後起業し、建築物の省エネ制御のためのアルゴリズムを開発・売却後、WOTA株式会社に参画しCOOに就任。現在同社CEOとして、水問題の解決、自律分散型水循環社会の実現を目指す。

【水処理産業の課題】
バリューチェーン、サプライチェーンの各段階の中でもWOTAで注目しているのが運用管理の課題。水処理場は非常時属人的に運用管理されている状況であることが課題で、WOTAはこれを自立制御する技術を開発し、応用してきた。これにより、既存の大きな水処理施設も自立制御でき、ランニングコストが3-4割減っている。また、水処理が自立制御できることで超小型の持ち運べるコンパクトな水処理場を作ることも可能に。これの背景にあるのがWOTAの技術で、職人さんが属人的にやっている運用管理を、センサー、AI、データのエコシステムによって自動化。

■加藤 勇志郎
キャディ 代表取締役 
マッキンゼーに入社後、重工業、建設機械などの大手メーカーに対して購買・調達の改革支援を行う。100年以上イノベーションが起きていない製造業の調達分野における不合理を解決するため、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに2017年11月、キャディ株式会社を創業。

【ものづくりの業界の「下請けのピラミッド構造」】
あるサプライヤーが1~2社の顧客にほとんどの売り上げを依存している状況下では、交渉力や柔軟性がなく、顧客とサプライヤーがお互いに依存し合っている関係。この状況下ではコロナの影響などでどこかが経営困難になった場合、連鎖的に経営困難に追い込まれていくリスクを内包してる。
業界全体では新しい取引先とお付き合いする際の取引きコスト(探索、交渉、監督)が高い。キャディの提供するプラットフォーム上でフラットで強みに基づいた構造をつくっていきたい。
■ラジェーンドラ マヨラン 氏
三井住友銀行 Head of Digital Solutions Asia Pacific
東京大学工学部精密機械工学の修士課程を卒業。MRIの中で使用可能な手術ロボットを理化学研究所と共同で研究。2009年、GEヘルスケア・ジャパンに新卒入社。新製品開発エンジニアとしてMRIの研究開発に取り組んだ後、エンジニア向けリーダーシップ・プログラムに選ばれ、製造、IT、マーケティング、サプライチェーンのプロジェクトをリード。2013年より、日本発の新製品MRIのグローバル開発をリード。2015年に、GEジャパンに移り、GEの産業用IoTビジネスを日本で立ち上げ、業界のパイオニアとして電力・航空・製造分野で数多くのIoTプロジェクトを手がける。2020年8月より三井住友銀行に移り、シンガポールよりAsia Pacific地域におけるデジタル戦略をリード。

現在は、製造業のお客様のバリューチェーンのデータと金融のデータを組み合わせた新しいビジネスの創出に取り組んでいる。
いかにバリューチェーン全体をとらえていくか、データを活用して効率化、行動していくか。金融はどのフェーズでも必要になってくるので金融をレバレッジし、産業のDXを進めていきたい。

以下、登壇でお話した内容を抜粋しまとめてみました。

社会課題解決に挑戦することになったきっかけとは

佐藤氏:
現在の事業に一歩踏み出したきっかけとなったご経験などをお伺いできればと思います。
まずは私からお話させていただければと思います。私自身、銀行員としては珍しくずっと成長期業分野をやってきましたが、実は銀行に入る前からスタートアップ支援をやりたいと思っていました。長野県出身なのですが、中小企業が多く、これから中小企業がどのように生き残っていくかを考えた時に、ベンチャー企業のような先端技術やアイディアがないといけないと考えたのがきっかけでした。大学や大学院でもベンチャー企業やベンチャーファイナンスを勉強しておりました。

前田氏:
私が水分野を選んだ理由は、地元が徳島県の西部で上下水道のないエリアでして、それでも豊かに水を使って過ごしていました。そういうところで約18年生活してきたんですが、大学で上京した日が2011年3月10日だったんです。その翌日に3・11が起き、アタフタしていたんですが、都市的な大規模な断水が起きました。田舎から出てきて東京というのは先端的で色んなものが整っている場所という印象があったんですが、自然災害が起きた際、高度に複雑化した現代都市のインフラ産業の脆弱性を強く感じまして、そこからさらに都市的なインフラをどう再構築するかという視点を得ました。特にネットワーク型で一箇所に機能不全が起きると全体の機能不全に繋がる、あるいはバックアップが無い、あるいは巨大で複雑がゆえに何かあった時に個人がコントロールすることができない、というところに違和感を感じました。

佐藤氏:
ありがとうございます、運命的な出会いですね。加藤さんはどうでしょうか。

加藤:
私の場合は学生時代に自分で会社をやっており、事業を作ること自体は楽しいと思っていました。卒業後も自分で続けていくか一度企業に入るかを考えた時に、どうせ一度の人生をかけるのであれば大きな産業で深い課題、より大きなインパクトを与えられ、かつグローバルで共通性のある課題に取り組みたいと思いました。それが学生の時は思いつかず、産業の深い課題を知りたいと考えてマッキンゼーに入りました。仕事をやっていく中で、製造業は日本の最大産業であり、調達は120兆円と圧倒的に大きい市場にもかかわらず、アナログで100年以上イノベーションが起きていないません。これをどう最適化していくかという挑戦は、人生をかけて取り組むのに値するやりがいがあり、この業界にチャレンジすることを決めました。

佐藤氏:
ありがとうございます。深い課題、インパクトの大きい挑戦ということで加藤さんらしい素晴らしい挑戦だなと思いました。

マヨラン氏:
私は小さい頃から日本に長くおり、ロボットや技術大好き人間でしたが、日本は技術持ってるけどビジネスにするのは・・・とずっと言われていました。そんなこともあってGEでヘルスケアのものを作るところからIoTやデータを活用したビジネス創出をするところにいきました。日本の大手のメーカーさんとは色んなプロジェクトをDXという文脈でやらせていただいている中で、変革していくところの難しさを強く感じました。費用対効果の話や、組織をどうするかという課題で行き詰まってしまう中、どうしたらDXの一歩を踏み出してもらえるかを考えました。コンシューマーに起きているDXはメールやアプリなどのサービスが無償で、そこで広がることによりビジネスモデルが生まれています。当時、自分の担当しているソフトウェアを色んな製造業のお客さんに無料で配り、そのデータ活用をして色んなビジネスモデルを考えるのはどうかとSMBCに相談しました。実際にやってみると銀行が無償で分析ツールを製造業に提供するというのは引きがあり、DXプロジェクトが進んだという成功体験がありまして、自分のキャリアをギアチェンジしました。根底にあるのはデータ活用で製造業に貢献したいという想いです。

事業拡大における課題とは何か?

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佐藤氏:
私自身、スタートアップ支援の中で少し前は自動車業界の新規事業に携わっていました。その時に感じたのは大企業とスタートアップの協業の難しさです。大企業側がお試しの様な形で取り組んでいて、その間スタートアップは資金の問題もあり必死にやっていましたが、間に合わずに案件が途絶えてしまったことがありました。SMBCはここの殻を破ってやっていこうと取り組んでいます。前田社長は、どんなことが課題としてありますでしょうか。

前田氏:
水処理業界は、メーカーごとに設計が全く異なり、それゆえに運用管理の方法も全く違い、運用管理が非常に属人的になっています。属人化されているので運用における無駄が発生してしまっているという課題があります。それをDXで解決するためのセンサーが非常に高いので、我々が安いセンサーを作って可視化するコストをさげ、データポイントを増やし、機械学習モデルを作っています。

佐藤氏:
ありがとうございます。加藤社長、製造業もイノベーションが長らく起きていないというお話でしたが、業界の業界の慣習などはあるのでしょうか。

加藤:
そうですね、下請構造の中で新しく取引をする時に、今長く付き合っているところがあるからなかなか替えられないと言うエモーショナルな話を伺いました。実際には私もいろんな会社と取引する中で、それは半分正しく、半分嘘だなと結論づけています。関係性が原因で取引ができない会社は数割に留まり、関係がもたらす暗黙知が取引コストに関する本質的な課題だと思っています。新しい会社との関係の構築は難しい点は実際にあり、例えば設計の図面が正確でなく、設計の裏にある情報を長くお付き合いのあるサプライヤーが全部ブラックボックス的に持っていたりします。そうすると、その情報を知らないまま新規のサプライヤーに出して価格を比較すると不完全な部分にバッファーが積まれて新規の方が費用も上がる傾向があります。取引コストは『探索』『交渉』『監督』に分解できますが、マッチングするだけでは『探索』の役割しか担えていません。キャディはこの三つを全て吸収して翻訳する役割を持っています。

佐藤氏:
ありがとうございます。取引きコストを下げると言うのはおっしゃる通りだと思います。前田社長、更にこれからもう一歩進める上で必要なこと、例えばSMBCにしてほしいこと等がありましたら教えてください。

前田氏:
我々がやっているサービスの一つに、既存の水処理施設のランニングコストを下げていくというものがあります。我々が開発している安いセンサーを取り付けて、今まで可視化できていなかった水処理施設の状態やそもそもの水質というものを可視化していく、そして、自動制御ソフトウェアのライブラリを適用して水処理施設の運用を自動化していくことによって、今までやってきた水処理のコストを下げることができます。また、水処理のセンサーも我々は従来品の十分の一程度のコストで提供できます。こういったコストメリットがある中でも、導入するに当たってイニシャルコストがあったり、決済できないということがあるので、イニシャルコスト部分を何らかの形でファイナンスしてただき、後段階のコストが下がった部分を分配するなどできないか、ご相談したいと考えています。

佐藤氏:
是非是非、よろしくお願いします。加藤社長は、ファイナンス面などはいかがでしょうか。

加藤:
モノづくりは一番最初の人が材料を買ってから、最後にお金が入るまではすごく時間がかかります。そこを産業全体でどう縮めていくかということが課題になると思うので、最終的にはバリューチェーン全体のキャッシュフローをどうしていくかというところに取り組んでいけるとモノづくり産業のポテンシャル解放を実現できるのではないかと思っています。

佐藤氏:
とても楽しみです、ありがとうございます。ここはマヨランさんも取り組まれているところですよね。

マヨラン氏:
まさに加藤さんがおっしゃったところをやろうとしています。取引きコストのお話をされていましたが、我々からみると金融コストも同じくらい無駄があります。バリューチェーンを横断してデータで分析することによって製造業の金融コストも下げていき、それによって競争力を上げていけると思っています。

佐藤氏:
SMBCのデジタル戦略で色々できそうですね。
ここでお時間となりましたので、締めの挨拶をさせていただきます。
今日は皆様からの社会課題解決していくに当たって、スタートアップと一緒にやるとここまでできるんだというヒントをいただきました。その中でSMBCがお手伝いできることもあると思っております。ご一緒させていただく機会があると幸いです。本日はありがとうございました。

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おわりに

今回の登壇では世界最大産業の課題への挑戦のお話をさせていただきました。セッション内の話の通り、キャディは単なる「テクノロジープレイヤー」にとどまらず、製造業の受発注の商流に入り込んで、製造業メーカー様や加工会社様への提供価値を拡大しています。
とはいえ、まだキャディの挑戦は始まったばかりです。今後の多面的なサービスの拡充に向けた動きも随時発信する予定ですので、お楽しみに!

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