【イベレポ】「家業ある人あつまれ!アトツギがベンチャーで働く本音ぜんぶ答えます」トークイベントを開催 -後編-
実家が家業を営み、いずれは代表の立場を継いで大きな責任を追うことになる「アトツギ」。
前編では、キャディで活躍するアトツギメンバー3名に加え、既に家業に入られているアトツギゲストを3名お招きし、継ぐ決意に至った経緯や、継ぐ前に押さえておくべきポイントなどをそれぞれの観点からお話いただきました。
前編はこちら!
今回は後半のトークセッションの内容となります。
かなりリアルに迫ったお話がお伺いできたので、ぜひ最後までご覧ください!
第2部:トークセッション
第2部では、ゲスト3名の方とCADDiのメンバーで、トークセッションを行いました。先輩アトツギならではのリアルな、時に生々しいアドバイスに、3名も頷きながら聞き入っていました。質問も飛び交いながらの闊達な場となりました。
テーマ1:アトツギ宣言をした際の、親御さんの反応
ーーアトツギ宣言をした際の、親御さんの反応はいかがでしたか。前半で話が出ていた財務状況も、いきなり聞くのはハードルが高そうな気がしましが…。また、「継ぐね」と宣言するタイミングはどうやって決めたのでしょうか。
小沢氏:
私が継ぐとは思われていなかったので、父には驚かれました。元々、BSとPLは、興味があったので見ていましたね。MBAを取りに行くときに、コピーして持って行って参考資料にもしていました。アトツギ宣言後は、もともと職人気質の父が更に厳しくなりました。「育てなきゃ」という意識でしょう。でも、家族関係としては良好です(笑)。
乘冨氏:
継ごうと思っている、と伝えたら、親はホッとしていました。就職してからずっと「継いで欲しい」と言われていましたから。ずっとガン無視してたんですよ(笑)。家業が嫌で飛び出したようなところがありましたから。
会社の財務状況は「戻るからには見せて」とストレートに頼みましたね。でも自分じゃ数字の読み方もわからなくて。たまたま前職の経理に同期がいたので、「この会社大丈夫?」って見てもらいましたね。「まあ大丈夫じゃない」ってことだったので、「よし」と戻りました。
継いだ後も、親との関係性は昔から変わらないです。親戚には最初とても厳しい目で見られましたが、1年くらい前から、頑張っている姿を認めてもらえるようになりました。
島田氏:
継ぐという話をしたら、めちゃくちゃ喜んでもらえました。「嬉しい」と、ストレートには言われませんでしたが、祖母からこっそり聞きましたね(笑)。
本当はビズリーチを辞めた後に、もう1社か2社経験してから戻ろうと思っていたんですよ。その話を親にしたら、「もう今帰ってきて欲しい」という展開になったんです。「なんで?」ってなったのですが、その場で会社の財務状況についてすぐに聞きましたね。キャッシュや借入金の話も聞いて課題感がわかり、解決するために自分が必要とされているんだと理解しました。
私のケースのように、親とこちらの認識が一致しているとは限らないので、家業に戻るタイミングについては一度自分から話しておくといい気がします。親としても、仕事を楽しそうに頑張っている息子や娘に遠慮しがちなところもあるでしょうし。
ーーキャディのみなさんも、親御さんとタイミングについて話したことはありますか?
佐藤:
あります。わざわざ場を作ると構えてしまうので、父が東京に出張できたタイミングで、飲みながら話しました。普通に飲もう、という雰囲気で。パワポを1枚だけ作って持っていきましたね。
普通の話をしながら、「そういえば、こういう時系列で継ごうと考えている」と伝えました。「そうか」で終わりましたが、後で従業員の方に伺ったところ、父はめちゃくちゃ喜んでいたようです。
平澤:
私の場合は、名前(英継)を見ていただくと一目瞭然で(笑)。継ぐ運命ですね。小さい時から父はそのつもりだったようで、ミラノに家族旅行かと思いきや、商談先だったなんてこともありました。
実は今既に、休日は家業を手伝ったりしているんです。継ぐのは楽しみですが、覚悟が必要だと感じていますね。もう2年前から、父にすぐ戻るように言われていますが、今じゃないと説得しています。財務状況は、見たことがないんですよ。見る時には、乘冨さんのように、経理の友人などに聞いてみます。
長谷川:
継ぐ意志があることは、親には既に伝えているのですが、5年後くらいを考えています。30歳になったらと。前職を辞めてキャディに入る前に、自分の計画を親に共有しました。
父は、キャディという環境で働いていることをとても喜んでいます。たくさん持ち帰ってくれそうだと期待されている感じです。今すぐ戻ってきても意味がないから、まだ帰ってくるなと言われていますね。
ーー新卒で入社する会社を選ぶ際には、家業と同業種の企業を意識されましたか?
小沢氏:
最初は意識してメーカーを受けていましたが、縁がなくて。でも、ワークスアプリケーションズというメガベンチャーに入社したのは、これはこれで結果的によかったと思っています。刺激も学びも多い日でしたから。でも、家業と関連しているとこに入るのも、やっぱり良いんだろうなと思いますよ。
島田氏:
大学生の時に留学した流れで、大きなキャリアフォーラムにもたくさん行きながらキャリアを考えました。やはり製造業を考えていろいろ見ていたのですが、ちょっと違うなと思ったんです。
結果的に、自分にはベンチャーが合っていたようで、ビズリーチに入社しましたね。これから事業ができていくという場にいたのがよかったのだと思います。経験を積めますし。実際、家業を継ぐ予定だという「アトツギ」社員もたくさんいましたよ。
ーー今日の3名のゲストの方は、キャリアの中でIT領域にふれられていますが、それは意図的でしたか?
乘冨氏:僕は、たまたまです(笑)。大学でIT系を選んだのも「先生が優しそう」でしたし、仕事でも「やれって言われたから」とかでしたよ。
でも、そうやって何も考えずに入った領域でも、得るべきものは必ず得てきたという感覚は自分の中にあります。望んで得たわけではない環境の中でも、何かしらゲットしようという気概を常に持っていたので、偶然を全て自分のスキルに変えてこれたとは思います。
結果的に全部、今家業を継いで力を入れている「ノリノリプロジェクト」に結実している手応えがありますね。案外、無戦略もあり!って思います。どこにいるかよりも、大事なのは過ごし方でしょう。
ーー第一部でKintoneを使った業務改善プロジェクトの紹介がありましたが、前職で使われたことなどがあったのでしょうか?
乘冨氏:いえ!こういうことしたいんだけどなんかないかなってTwitterでつぶやいたら、何人かが「Kintoneいいですよ」って教えてくれたんですよ。じゃあやってみよう!って(笑)。人が言ってくれたことは、とりあえずやってみることを大切にしていますね。
島田氏:乘冨さんがそういう感じなので、僕は意識の高いトークを!(笑)なんちゃって。
(一同爆笑)
島田氏:
いや冗談です!僕の場合は「モノとインターネットがこれからは交わる」みたいなことを、識者的な方々がおっしゃっているのを聞いて、じゃあそういうことができる場所を探そう、ってなったんです。そうやって自分で選びましたが、今家業を継いで、直接活きているスキルがあるかと問われるとちょっと…(笑)。考えて選んでも、意外とそんなものだと思います。
テーマ2:アトツガナイ選択肢はなかった?
ーーみなさん、家業を継がないという選択肢はなかったのでしょうか?
乘冨氏:
もともと家業が嫌で飛び出したようなところもありましたけど、戻った方が確実にチャレンジできると思って継ぐ道を選びましたね。考えて決めたようにも聞こえますが、やっぱり半分流れみたいなものはあるかと思います。弟も戻る気配はなかったですし、親には戻って欲しいと言われるしと。何かに引っ張られて、今に至るような感覚です。
佐藤:
私は、「アトツガナイ」感じでした。小さい時、父の働き方を見ていたんです。早朝から深夜まで働く姿を見て、こんなに大変なのは嫌だと思って、絶対別の道に行こうと思っていましたね。でも新卒で就職して、結果的に父と近い環境を経験する中で、町工場の素晴らしさがわかって継ぐ方向に考えが変わった感じです。
長谷川:
僕も佐藤さんと一緒ですね。小さいに時に、家族で旅行に行った記憶がないんですよ。休みがないんですよね。でも就職して社会を知るようになって、すごいことやってたんだなって気づきました。自分で覚悟や責任を持ってやりたいことをやっている親の姿が、なんか大人としてカッコよく見えたんです。
ーー親御さんにぜひ、聞いていただきたい言葉ですね!いつか直接言ってあげてください。平澤さんは継ぎたくないと思ったことはありますか?
平澤:
僕の場合は、土日も働いていた父が楽しそうに見えていたので、小さい頃から継ぐものだと思って過ごしてきました。でも一方で、会社が今うまく行っているのであれば、僕が継がない選択肢もあると思っています。もちろん、自分が継いで実現してみたいことなどもありますが。
テーマ3:家業を継いでから、人間関係で大変だったことは?
ーー実際に継がれてから、社員の皆様のと関係性などで苦労されたことはありましたか?
小沢氏:
まず、ベテラン勢にボッコボコにされました(笑)。新しいものを持ち込みたがらないので衝突しつつ、粘り強く説得を繰り返しましたね。
ビジョンを共有できる人の数が社内に多いほど、社長という立場としては働きやすいのだと気付きました。既にそこで、先代の時代に会社を支えてきてくださっている社員がいる中に入っていく形になるので、イチから自分で会社を立ち上げるのとも、また違う苦労があるかもしれません。
ですから、技術も大事なんですけど、ビジョンに共感してくれる方を積極的に採用しようとしています。
乘冨氏:
また代表になると大変そうですよね。私もまず、戻ってすぐにボッコボコにされましたから。方針としては、今いる社員さんを盛り立てることを大切にしています。
島田氏:
苦労したことと問われると「苦労してないことなんかありますか?」って問い返したくなるくらいです!(笑)。お願いしますと社員にお願いすると、まず「NO」が返ってくる状況ですから。自分がまず動いて、その姿勢をみてもらって、「ここを手伝ってもらえませんか」という形でやっと、少しずつという感じです。
ーー代表になるタイミングは、決められていますか?
島田氏:
まだですね。私の場合は「アトツガナイ」選択肢はなかったので、いずれ来るタイミングがあると思いますが。どういうタイミングがいいのか、小沢さん、教えてください!
小沢氏:
これはエモーショナルな選択になりますよね。うちは、前社長が「去る」と決めたタイミングで継ぎました。でも、コロナの渦中だったので、本当は社会全体も昇り調子の時の方が社員の機運も上がりやすかったんじゃないかなとは思います。
平澤:
さっきの話に戻りますが、どのような観点で採用されているのでしょうか?
乘冨氏:
ビジョンに共感してくれる人材に出会うのはなかなか難しいので、これからですね。まずは発信してブランディングをやっているところです。
小沢氏:
私の場合は、新規事業で始めたアウトドアブランドの広告を見て来てくれた人がいましたね。前職は小売をされていた人だったので、欲しかった人材でした。
乘冨さんがおっしゃるように、発信することで繋がりができると感じますね。Twitter経由のファン応募、嬉しいですよね。
乘冨氏:
最近、そういう事例も増えていますよね!いいなあー、うちにも来て!ってなります(笑)。ノリノリプロジェクトに共感してくれる方に来ていただけたら嬉しいです。
小沢氏:
町工場は、「社長が面白い」=「面白い会社」となりやすいですよね。
ーー最後に、キャディの跡継ぎむけのメッセージをお願いできますか?
乘冨氏:
キャディさんは、「めっちゃイケてるベンチャーだな!」と思っています。超優秀な人がたくさん集まっていると思いますし、今日お会いした3人のみなさんに僕から言うことは特にありませんが、とにかく「覚悟を決めて」突き進んでください。
平澤:
ありがとうございます。でも、そんなことないです…もちろんそうなりたいですが。今日は、違うジャンルの話やブランドの話を伺えてよかったです。Twitterをぜひ、フォローさせてください!
島田氏:
僕は、キャディに入りたかったですね!(笑)
ーーまだ間に合いますよ!(笑)
島田氏:
(笑)。2015年に加藤さんのTwitterを拝見していたり、その後も組織拡大の様子に注目していたりと、タイミングが合えばぜひ入ってみたかった会社です。
みなさんに伝えられることとしては、「いつ」って時間軸を決めちゃうのもありかもしれないということです。一生準備万端にはなれないと思うので、逆に「えい!」っと決めちゃうのもありかなあと思いますね。
小沢氏:
周りが全員引くくらいのチャレンジをしておくといいと思います。家業に戻ると、本気で失敗できないので、チャレンジは難しくなります。中小企業は、失敗すると本当に存続に関わりますから。
佐藤:
ありがとうございます、僕の中でも、覚悟と挑戦はキーワードです。今日、みなさまのお話を伺っていて、ロジカルに考える必要はもちろんありますが、タイミングと覚悟を決めて、家業を継いでいこうと思いました。
サラリーマンは確かに、挑戦できる立場ですが、社長は従業員の生活や雇用を背負っている立場ですよね。今、キャディというチャレンジできる環境にいるので、頑張ります!
長谷川:
今しかできないことを、僕もやり切ります。そこから、道が見えてくる気がしました。まだまだチャレンジが足りない部分もあるので、もっとトライしていきたいです。キャディにはその土壌があるので、まだ環境を活かしきれていない気がします。
ーー今週から、キャディ3人の変化が楽しみですね!(一同爆笑)
おわりに
最後までお読み頂きありがとうございました。
キャディでは現在全ポジションで積極採用中です。
少しでもご興味ある方、エントリーお待ちしております^^
・ 採用サイト:https://corp.caddi.jp/recruit/
・会社説明資料:https://speakerdeck.com/caddi_eng/caddi-recruit-202008
<ゲストスピーカーtwitterアカウント>
乘冨さん:https://twitter.com/kenzounoritets1
小沢さん:https://twitter.com/Tazfumi
島田さん:https://twitter.com/inter___rupter